自然の色

完熟万願寺とうがらし

 生姜の収穫が一段落した。
気がつくと、山の紅葉がきれいだ。
 夏場のむらかみ農園の主力作物の一つ、万願寺とうがらしも、11月上旬までがんばっていたが、霜と同時にすっかり枯れ草になっている。
 万願寺とうがらしが完熟状態になると、きれいな黄色から鮮紅色に変化する。もちろん食べられる。甘みと酸味がまして、これはこれでおいしい。
 週間モーニングという漫画雑誌に連載中の(とりぱん)の作者が、(自然色は中間色で温かいイメージがあるが、実際はどぎつくて、なんでもあり、だ)と書いてあったが、農業をやっていると、本当にそう思う。昆虫や花の色の自己主張からくるどぎつさ、鮮やかさは、晴天下では目が痛くなってしまう。この完熟万願寺の美しさは、下手をすると人工的な感じもする。
 しかし、いやな感じは一切しない。そこには生命(いのち)がやっどっていて、色の奥にいろんなものを感じるからだ。人工物にはそれがないので冷たいのだ。