山から

シカの出た山

早朝、犬の散歩をしていたら、山林で音がした。
犬は無反応で、道の脇のニオイの確認に忙しいようだ。
続いて、(キャーン)という鋭く甲高い声。(あ、シカだ!それも近い!)と、急いで犬を引っ張って下から山を見上げる。犬がようやく反応した。(...ったく...)
薄暗い木立の中にシカの白い尻が見えた。あっという間にいなくなって、どうも山の上あたりでとどまって、それからしばらく鳴いていた。
シカの声は文字にしにくい。(ひゃーん)(きゃーん)(ひーん)が混じったような甲高い声だ。今まで遠くで耳にしていたので、この山のどこかにいると思っていたから、珍しくはない。しかし近くで遭遇するとさすがにちょっと興奮した。
犬はさほど関心を示さないようだ。(ハクビシンアナグマが夜中に通ったあとにはものすごいご執心なのだが。)
シカの被害が深刻な地域もあるようだが、このあたりでは農作物までには手を出していない。野菜の味を覚えてないのか、まだ山に餌があるのか。昨年は、真っ昼間、角のある立派な雄が道に躍り出て、川を渡って逃げていったそうだ。その現場にも居合わせたが、姿を確認することは出来なかった。
今年はケツだけ見た。何かちょっとだけ良いことがあればいいんだけど。