日野地の田役

tmagri2006-04-05

4月1日は毎年、日野地の大井水路の田役と決まっている。
日にちが決まっているので、田役の時期に桜が咲いてるか、散っているか、遅いか早いか、目安になっている。今年は7分咲き。桜が長持ちしている。
田役は、水路の共同整備作業のことで、米作りの一番重要な仕事である。水は高いところから低いところにしか流れない。この当たり前の理屈によって、数百年も先人たちは汗を流し、長い長い水路をしき、管理をし、苦労をして水田に水を確保してきた。
それがここ数年の間、ほとんどがコンクリートになり、パイプになり、水路維持も楽になってきた。
日野地は数少なくなった土の水路の区間があって、少しは水田というものを理解できるようになった。毎年赤土を天秤棒で担いでは、土をたたいて締めて、補修をする。かなりハードな作業なのだ。しかし年々、田役に集まる人も少なくなり、年々、パイプを埋設している。もう数年すれば赤土で補修する区間もなくなるであろう。
私はこの田役が大好きだ。赤土での補修も上手になった。終われば桜の下で一杯やる。
しかし、集落の高齢化を肌身で感じていると、もうすぐできなくなるというのもわかるし、パイプを埋設しないと水田が維持できなくなるのもわかる。
棚田は文化遺産でも観光資源でもない。集落の財産であり、百姓がいなくなると消えてなくなる。仮に残ってもそれは違うものになってしまう。水田が好きなので、だから百姓を増やすのだ。